建物調査

建物調査

概要

建物調査

打診検査建築物に対する仕上は、意匠目的及び下地保護を目的に施工されています。
また、防水は建築物に対する雨水の浸入を防ぎ、人間の生活や資産を保管する環境を維持する為に躯体を腐食や劣化から守っています。
従って外装の仕上げ・防水に生じる劣化を放置すると、その下にある躯体面の経年劣化が進み、将来思わぬ補修費用が掛かることがあります。

建物の維持管理で、瑕疵の発生を予測する事は難しい事ですが、定期的な調査・点検等により建物の変化を見極め、補修・修繕などをする必要があるかを検証していきます。

弊社では、防水層及び、外壁仕上げ面でのひび割れ・浮き落下等の危険性の有無を調べ、合わせて今後の維持保全を計画する上での資料とする事を目的としております。
建物の資産価値を維持する為に、建物のどの部分をどのように補修・修繕をするかの目安にして頂きたいと思います。

部位別劣化所見

外壁塗装面

塗装材には大きく分けて二つの要素があります。
第一に、【美観性の要素】、第二に【躯体コンクリートの保護】が挙げられます。

現在の劣化状況については、全体的に退色・チョーキング現象が見受けられます。また、コンクリートのひび割れに伴い塗装材の破断・剥離が確認され、エフロレッセンス(漏水跡)が見受けられます。尚、ひび割れに状況としては、コンクリートの乾燥収縮、打継の影響、挙動、震災等の要因によるひび割れが点在していると考えられます。

今後ひび割れ等を放置した場合、塗膜の膨れ・剥離に伴い、コンクリート自体の中性化促進、鉄筋露出現象などを増加させる要因になり、鉄筋の爆裂によりコンクリート表面が剥がれ落ちる危険性が有ります。
特に亀裂が多く確認できた駐車場側とベランダ側は障害危険度が高いので、修繕の際には適切に下地補修を実施し、美観性・躯体コンクリートの保護を考えた再塗装を推奨致します。

外壁:ひび割れ

外壁:ひび割れ

鉄筋の錆によるコンクリートの剥がれ

庇 見上げ:
鉄筋の錆によるコンクリートの剥がれ

塗料のチョーキング

外壁:
塗料のチョーキング(白化現象)

防水面

防水層の一部亀裂・剥がれ、ドレン周りの収まり(改修ドレンを設置していない)、防水層の保護塗料の劣化が見られました。

少しの亀裂からでも雨水が防水層の裏に入り込み漏水の原因や防水層の劣化・膨れに繋がります。

塔屋、屋上はクロス補強(塗膜の強度、立面の膜厚確保の為)を施した防水改修を推奨致します。(ウレタン塗膜防水の保護塗料の塗り替え目安は、3~5年くらいです)

塔屋:全景

塔屋:全景

庇:防水層の劣化

庇:防水層の劣化

屋上:改修ドレンは入っていない

屋上:改修ドレンは入っていない
 

シーリング

吹付面等の建具廻りの塗装仕上げシーリング目地はポリウレタン系及び油性のシーリング材です。

全体的に劣化が認められます。劣化状況としましては、シーリングの口開きが、打ち継ぎ、サッシ周りに認められます。また吹付面等の打ち継ぎの塗装仕上げシーリング目地には、ブリード現象による汚染、変色による美観の低下が認められます。

概ねシーリング材の防水機能は部分的には維持されているものと考えられますが、伸縮性が失われているので今後の耐用年数や仮設足場の有効利用を考慮しますと、改修工事に合わせてシーリング修繕工事を検討されることをお勧めします。

シーリング口開き

打ち継ぎ目地:シーリング口開き

打ち継ぎ目地:シーリング口開き

打ち継ぎ目地:シーリング口開き

サッシ周り:水切りシーリング口開き

サッシ周り:水切りシーリング口開き

鉄部製品

全体的に光沢低下、チョーキング現象が進行しています。また、外部(雨掛り部)の部分は塗膜の劣化が発生しており改修時期に達していると判断されます。

鉄部製品は塗膜により腐食を免れているので、錆がないからといって放置しておく事は避けた方が良く、定期的(雨掛り:3~4年位、非雨掛り:5~6年周期)に塗装する事が重要であると考えられます。

屋上手摺:錆の発生

屋上手摺:錆の発生

配管:錆の発生

配管:錆の発生

水切り:錆の発生

水切り:錆の発生

外壁タイル面

一般外壁・開口部廻りにタイルのひび割れが見受けられ、発生量としては経年相当にあたると考えられます。
また、打診調査においても一般外壁にタイルの浮きが確認されましたが、浮きについても経年相当と考えられます。
尚、タイル目地やタイルひび割れの付近にエフロレッセンスが一部混在し、要因としては、タイルのひび割れの大半は躯体コンクリートのひび割れの影響を受け、タイル表面に生じていると考えられる事から躯体コンクリートも含めたひび割れ補修並びにタイルの張替えが必要であると判断されます。

特にサッシ周りは、漏水の発生が非常に多く確認される箇所の為、改修時には、慎重な対応が望まれます。

一部少し力を加えるだけで剥がれてしまいそうなタイルがありましたので、安全のため撤去させていただきました。

外壁サッシ廻り:ひび割れ

外壁サッシ廻り:ひび割れ

外壁面:タイルの浮き剥がれ

外壁面:タイルの浮き剥がれ

外壁面:タイルのひび割れ

外壁面:タイルのひび割れ

判定表

上記の調査を行ったうえで、判定表を作成いたします。